最後の恋はアナタの隣で

だけど、千秋からの返答はない。


不思議に思って視線を右隣に向けると、千秋は目を瞑っていて――…


「ちょっ……千秋っ、起きて」

私は小声で言いながら、寝ている千秋の左腕を掴み、軽く揺すった。


すると、千秋はすぐに薄っすら目を開け――私をボンヤリ見つめる。


まるで、時間が止まったような感覚だった。


色っぽい漆黒の瞳が、私を捉えたままで数秒間停止する。


そして、再び瞼を閉じた直後――千秋は私の右肩に頭を預け、動かなくなってしまった。


甘い香りがフワフワ漂う。

漆黒の髪の毛が首筋をくすぐる。

体が固まって身動きが取れない。


ドキドキ――する。


有り得ないくらい鼓動が早くなって、そんな自分に嫌悪感を抱いた。