最後の恋はアナタの隣で

そして、気を取り直したように「そろそろ行こうか」と口にすると、ベンチからゆっくり腰をあげた。


それに続いて立ち上がった私は、千秋の後について行く形で映画館の出入り口に向かい、館内に足を踏み入れる。


フードとドリンクが売られているカウンターでアイスカフェオレを買ってもらい、目当ての映画の上映室に入って一番後ろの座席に座ると、すぐに室内が暗転して予告が始まった。


予告が終わり、本編に移って序盤を見た段階で、私は今日の映画も“当たり”だなと思った。


少し残酷なシーンが多い気もするけど、それがまた緊迫した雰囲気を盛り上げてくれている。


「――ねぇ、千秋。誰が犯人だと思う?」

中盤も終わりに差し掛かった頃。


私は堪らず、視線をスクリーンに向けたままで、右隣にいる千秋に小声で話しかけた。