最後の恋はアナタの隣で


「疲れてるの?」

もう何度目になるか分からないアクビをした千秋にそう聞いたのは、春樹さんと向き合う事から逃げ出して――五日後の事。


毎週土曜日は映画を見に行く日――って、はっきりと千秋からそう言われたわけじゃないけど、何故かそんな感じになっていて、今日はサスペンス系の映画を見る事になった。


そして、その映画の上映開始までの空き時間を、映画館前にある喫煙所のベンチで待ち始めて、十分程。


私の隣で煙草を吸っている千秋は、何度もアクビを口にしていた。


「疲れてないよ。ちょっと寝不足なだけ」

「寝不足? 何で?」

「昨日ね、閉店間際にホストの団体客が入ってさ、営業時間を延ばしたんだよ」

「何時まで?」

「昼の十二時」

「じゅっ、十二時!?」