「……何で携帯番号知ってるんですか?」

『あぁ、履歴書をちょっと拝借した』

「……それって犯罪ですよ」

声をワントーン下げて私がそう言うと、春樹さんは楽しそうに声を出して笑った。


「ていうか、一体何の用ですか?」

何故かドキドキする胸の焦りを抑え、私はわざと冷たい口調で春樹さんを急かす。


『あ、そうそう。額の腫れは引いた?』

返ってきたのは業務的な質問で、


「……引きました」

私は少しガッカリしてうな垂れた。


自分が何を期待してたのかは分からない。

だけど、“何か”を期待してたのは明らかで、何だか恥ずかしい気分になる。


春樹さんが目の前にいるわけでもないのに。
電話越しに声を聞いてるだけなのに。


……何故かドキドキが増していく。