最後の恋はアナタの隣で

「あんな母親でも――自分を捨てた最低な母親でも、春樹にとっては大切な人だから」

「……」

「いつかは愛してもらえるかもって、期待してるんだと思う。だから今でもあのマンションに住んでるんじゃないかな? 母親との唯一の繋がりだし」

「……」

「男はね、幾つになってもそういう生き物なんだよ。俺も母親には勝てない」

そう言って、恥ずかしそうに笑った千秋は、


「ていうか、ごめん。雑炊冷えちゃったでしょ? 温め直すよ」

私の手の中にある茶碗に視線を向け、申し訳なさそうな顔をする。


確かに冷えてしまってるけど……例え温かかったとしても、何だか食べる気にはなれない。


でも、千秋がせっかく作ってくれた物だし、残すのは気が引ける。


「大丈夫だよ。冷めても美味しい」

私は雑炊を一口食べ、千秋に笑顔を向けた。