だから本能に従って瞼を閉じようとした――その時。


胸ポケットに入れていた携帯が震えだした。


……ミサキからのメールかな?

そう思って携帯を取り出して画面を見ると、知らない番号が通知されていた。


眠気で少しだけボーッとする頭で、何も考えずに通話ボタンを押し、携帯を耳に当てる。


『――もしもし。涼ちゃんの携帯ですか?』

聞こえてきたのは少し低めの、掠れた声だった。


聞き覚えのある――落ち着いた“あの”声。


あれだけ近い距離で聞いたんだから、間違えるはずがない。


この声の主は絶対に――…


「……春樹さん?」

『お、凄いね。分かったんだ?』

…――やっぱり。