「ご飯……食べたいっ、吐きたくないッッ……」

「うん」

「吐いたら……春樹さんが可哀想っ……」

「うん」

「私……普通に戻りたいよぉ……」

「大丈夫。必ず戻れる」

「千秋ぃ……」

「うん?」

「……助けてぇっ……」

「うん。涼ちゃんを助ける為なら何でもする。だからもう、安心して良いよ」


私の髪を優しく撫でてくれる千秋の手が、心地好かった。


私を襲ってきた男子達の冷たい手とは違う、温かい手。


春樹さんに心配をかけたくなくて。
春樹さんに嫌われたくなくて。

春樹さんの事が大切で、大好きだからこそ――…



…――私はその温かい手に縋り付いてしまった。