ギィッと軋む《きしむ》、古びた扉。
その向こう側には、五月晴れの空が広がる。


「ダリィ……」

後ろ手で扉を閉め、深い溜息と共に言葉を吐き出した。


私は別にエッチな話が苦手なわけじゃない。


ただ、リンに抜かされてしまった感じがして、詳細を聞きたくなかった。


大人の男性に抱かれて肉体的に大人の階段を上るって――私にはまだそんな経験がないから、想像してもしきれない。


フェンスに背を向けて腰をおろすと、負けてしまった悔しさを拭う為に、スカートのポケットに隠していた煙草を取り出し、火を点けた。


生暖かい風がソヨソヨと吹いて、覚めたはずの眠気が再び引き起こされる。