最後の恋はアナタの隣で

「え? ご飯食べるの?」

思いもよらぬ提案に、さっそくカシスオレンジを飲んでいた私は、グラスから口を離して目を丸くする。


「“食べる”っていう行為に少しずつ慣れていかないといけないからね。春樹には俺から上手い事言って、こっちで夕飯を食べれるようにするよ」

「でも……吐いたらどうするの……?」

「大丈夫。仕事柄、人が吐くのには慣れてる。何ならその片付けにも慣れてる」

「慣れてるって言われても……」

「最初はスプーン一杯からでも良いから、とりあえずやってみようよ。ね?」

「……うん。分かった」

迷惑をかけてしまう事より、千秋が近くにいる状態で吐いてしまうのを気にしてる私の乙女心に、千秋は気付いてない様子だった。


だけど……凄く嬉しい。