「……登校初日から相変わらずしつこいな」

「友達の心配すんのは良い事だろ」

そう言って学生服のズボンのポケットから煙草の箱を取り出した宮沢は、一本咥えて火を点けると、


「ほら、お兄さんに話してみ?」

煙を吐き出しながら偉そうに言う。


その顔がムカつくっていうより、何だか可笑しくて、


「友達の相談を聞いてあげられなかったから後悔してる」

私は素直な気持ちを口にした。


「友達って、いつも一緒に居たあの二人か?」

「ううん。ミサキとリンじゃない。他校の友達」

「そっか。で、何で聞かなかったんだ?」

「聞かなかった――っていうか、相談だったか分からないんだけど、もしかしたら相談だったかもしれないんだ。それが分からないから後悔してる」