「登校初日でサボりかよ?」

始業式を終えてすぐに屋上にあがり、フェンスの向こうにある空を座って眺めていると、久しぶりに聞く宮沢の声が背後から飛んできた。


「イジメられっ子は大変なんだよ。まぁ、今ここにいるのはイジメとは関係ないけど」

首を右後ろに捻って顔だけ向けた私の視界には、少しだけ肌の焼けた宮沢の姿が映る。


「何だ? 何かあったのか?」

「色々、ね」

「色々って何だよ」

「秘密」

「まさか、橘先輩と別れたとか?」

言いながら、一人分の距離を空けて私の右隣に座る宮沢。


「別れる訳ないじゃん。馬鹿じゃねぇの?」

「そっか。まぁ、そうだよな。じゃあ何があったんだ?」