最後の恋はアナタの隣で

そんな陰の世界から開放されてホッとしたのも束の間、


「……ねぇ」

ノロノロと私の後ろを歩いていたユカリが、不機嫌そうな声を吐き出した。


立ち止まって振り返ってみると、そこには声色同様の不機嫌そうな顔をしてるユカリが居て、思わず溜息が出そうになった。


こういう時の女子の言葉は、大抵面倒臭い物だと相場が決まってる。


だけど、聞かずに終わる事なんて出来ないだろうと思い、


「……なに?」

私はユカリの次の言葉を急かした。


「さっき、衣装部屋で春樹さんと何してたの?」

「……」

ほら、やっぱり予想通りだ。
男が絡むと女は面倒臭い。


「何って、何もしてないけど? 殴られた所を冷やす為にオシボリ貰ってただけ」

私は冷静な口調でそう答えた。