「わぁ……可愛い!」

中に入っていたのは、ピンク色の石が花の形に埋め込まれた指輪で。


春樹さんはそれを取り出すと、私の左手を取り、薬指にはめてくれた。


「恋人の時は右手に付けるらしいんだけど、俺は左手に付けててほしい」

「うん。私も左手が良い」

「……涼」

「うん?」

「絶対にないとは思うけど……俺がもし涼を殴ったりした時は、俺を捨てて逃げろよ?」

「大丈夫。春樹さんはそんな事しないよ。もしそんな事したら、春樹さんを殺して私も死んであげる」

私が真顔でそう言うと、


「涼が死んでしまうなら完璧に殴らねぇな。良い言葉貰った。ありがとう」

春樹さんは柔らかい笑みを見せ――私を真っ直ぐ捉える。