全身に潮風を受けながら、デッキの先端の手すりまで行って春樹さんと並んで立つと――…何故かお互い無言になった。
私達の近くに他のお客さんはいない。
皆、デッキの両横の手すりから夜景を眺めて、楽しそうにはしゃいでる。
私と春樹さんの間に流れるのは、他のお客さん達のその楽しそうな声と、船が切り裂く海の音だけ。
それが虚しいっていうより、むしろ心地好く感じてる私の耳に、
「――今までずっと、誰かを好きになった事がなかったんだ」
ポツリと小さく聞こえてきた春樹さんのその声は――少しだけ悲しさを含んでて。
思わず、左隣に立ってる春樹さんに視線を向けると、春樹さんはどこか遠く――目前に広がる暗い海の果ての、それよりもずっと遠くを見つめてるように見えた。
私達の近くに他のお客さんはいない。
皆、デッキの両横の手すりから夜景を眺めて、楽しそうにはしゃいでる。
私と春樹さんの間に流れるのは、他のお客さん達のその楽しそうな声と、船が切り裂く海の音だけ。
それが虚しいっていうより、むしろ心地好く感じてる私の耳に、
「――今までずっと、誰かを好きになった事がなかったんだ」
ポツリと小さく聞こえてきた春樹さんのその声は――少しだけ悲しさを含んでて。
思わず、左隣に立ってる春樹さんに視線を向けると、春樹さんはどこか遠く――目前に広がる暗い海の果ての、それよりもずっと遠くを見つめてるように見えた。

