最後の恋はアナタの隣で

油性ペンで書かれた落書きは何度擦ってもなかなか消えてくれず、


「……せめて水性にしろよなぁ」

思わずそんな小言を吐き出していると、


「相澤!」

不意に名前を呼ばれ、私は手を止めて教室の入り口に目をやった。


「お前……何してんだよ?」

ゆっくりと私の方へ近付いてくる――宮沢。


その視線は明らかに私の手元を捉えていて、机に書かれた“淫乱”“ヤリマン”の文字がハッキリと見える距離まで来ると、険しい表情を浮かばせた。


だから。


「な、何だよその顔。この世の終わりみたいになってるぞ?」

苦し紛れに笑って誤魔化そうとした私に、


「笑いごとじゃねぇだろ!!」

宮沢は凄まじい剣幕で怒鳴り声をあげる。