「涼ちゃん待って……!」

「触んじゃねぇよ!!」

ミサキに左腕を掴まれ、怒鳴り声をあげた。


その瞬間、ミサキはビクッと体を震わせ、私の腕からスルリと手を離す。


だけど目の前から退く気はさらさらないらしく、唇をキュッと結ぶと、涙で湿った目で私を見据えた。


……私は何も、無鉄砲にこんな態度をとってるわけじゃない。


イジメには“法則”がある。

“助けた人もイジメられる”っていう、理不尽極まりない法則が存在する。


だからミサキを遠ざけたくてわざとキツイ態度をとってるのに、ミサキにはそれが通じないらしい。


左右どちらによけて通ろうとしても、しっかりくっついて来るミサキに、いよいよ本気でムカついてきた。