――その視線に囲まれる中。


ティッシュの塊をゴミ箱に捨てて、ベランダに雑巾を取りに行こうと踵を返した私の前に、登校してきたばかりのミサキが行く手を阻むようにして現れた。


ミサキが何を考えてこんな行動をとっているのか大体察しがついたけど、


「……何?」

私はわざと冷たく言い放し、


「一緒に……消す……」

落書きされた私の机を指さしながら返って来たその言葉に――チクリと胸が痛んだ。


「……そんな事しなくていい。邪魔だからどいて」

「でもっ、一人でやるより二人でやった方が……」

「うるせぇな。どけって言ってんだろ」

このままこのやりとりを続けても埒《らち》が明かない。


私は言葉を吐き捨てるとすぐに、ミサキの横を通り抜けようとして――…