最後の恋はアナタの隣で

「……本気で怒ってるわけじゃないから別にいいもん……」

春樹さんから視線を外してそう言うと、春樹さんは「ごめん」と言って、私の頭をポンポンと優しく叩いた。


「――で、二人とも何飲むんだ?」

私達の言い争いが終結すると同時に、笑みを含んだ千秋の声が聞こえてきた。


「とりあえずビール」

私の頭を撫でていた春樹さんは、メニュー表も見ずに注文する。


「お前なぁ……一回くらい俺のカクテル飲めよ」

冷蔵庫から冷えたビールグラスを取り出しながら、呆れた顔をして溜息を吐き出す千秋。


「カクテルなんてジュースだろ。あれはアルコールじゃねぇ」

「残念だけど、カクテルは立派なアルコールだ」

サーバーからビールを注ぎ、それを春樹さんの目の前に差し出すと、千秋は更に呆れたような顔をした。