諦めずにもう一度“千秋”の事を聞き直してみるも、春樹さんはただ笑うだけで、質問に答えてくれない。
そんなやりとりを三回ほど繰り返していると、カウンター越しに男の従業員が現れた。
「いらっしゃいませ」
その男の人は少し高めの柔らかい声でそう言って、小さく頭を下げる。
今時珍しい漆黒の髪の毛。
真ん中よりやや右で分けられた前髪から覗く、存在感に溢れた切れ長の瞳が私を見つめて微笑んだ。
綺麗な人――無意識にそう思った。
女の人みたいに綺麗で可愛い春樹さんとはまた違って、中性的な印象。
男の人は笑顔を崩さず私から春樹さんへ視線を移すと、二本目の煙草に火を点けた春樹さんに話掛けた。
「久しぶりだな、春樹。店の方はどうだ?」
そんなやりとりを三回ほど繰り返していると、カウンター越しに男の従業員が現れた。
「いらっしゃいませ」
その男の人は少し高めの柔らかい声でそう言って、小さく頭を下げる。
今時珍しい漆黒の髪の毛。
真ん中よりやや右で分けられた前髪から覗く、存在感に溢れた切れ長の瞳が私を見つめて微笑んだ。
綺麗な人――無意識にそう思った。
女の人みたいに綺麗で可愛い春樹さんとはまた違って、中性的な印象。
男の人は笑顔を崩さず私から春樹さんへ視線を移すと、二本目の煙草に火を点けた春樹さんに話掛けた。
「久しぶりだな、春樹。店の方はどうだ?」

