最後の恋はアナタの隣で

扉の両サイドのガラス張りの壁から、汲み上げられた水が小さな滝のように流れ出し、深い青の照明が、その小さな滝を下から上へと淡く照らしている。


「涼、入るぞ」

幻想的な光景に目を奪われ足を止めていた私に、春樹さんがそう言った。


私は気を取り直して、力強く「うん」と返事をする。


春樹さんの手に引かれるようにしてお店の扉の前に立つと、“open”と書かれたプレートが吊るされてるそこを、春樹さんがグッと引き開けた。


途端に、甘い香りが鼻腔をくすぐり、春樹さんは「相変わらず千秋くせぇな」と呟いて、私の手を握ったまま、店内へと足を進めた。


入り口から奥に向かって長方形になってる店内には、右手に白色のバーカウンター。