だけど。
ユカリの事に気を取られ過ぎていて、もう一つの問題に対する心構えを持つのをすっかり忘れていた。
営業時間が終了して、皆が帰った後。
店内の掃除を済ませ、“千秋”のお店に私を連れて行こうとする春樹さんに、心構えが出来ていなかった私は再び駄々をこねた。
「行きたくない!」
「ほら、さっさと行くぞ」
「嫌だ! 行きたくない!」
行きたくないと言い続けていれば、行かずに済むかもしれない。
そんな淡い期待を抱いていたのに、今日の春樹さんは甘くなかった。
「行かないと一週間家から締め出すぞ」
「なっ……それズルイ! 卑怯だよ!」
「卑怯でも何でもいいよ。俺は別に、涼を傷付けようとしてるわけじゃないんだから」
「充分傷付いてる! 私にこれ以上焼きもち妬かせないで!」
ユカリの事に気を取られ過ぎていて、もう一つの問題に対する心構えを持つのをすっかり忘れていた。
営業時間が終了して、皆が帰った後。
店内の掃除を済ませ、“千秋”のお店に私を連れて行こうとする春樹さんに、心構えが出来ていなかった私は再び駄々をこねた。
「行きたくない!」
「ほら、さっさと行くぞ」
「嫌だ! 行きたくない!」
行きたくないと言い続けていれば、行かずに済むかもしれない。
そんな淡い期待を抱いていたのに、今日の春樹さんは甘くなかった。
「行かないと一週間家から締め出すぞ」
「なっ……それズルイ! 卑怯だよ!」
「卑怯でも何でもいいよ。俺は別に、涼を傷付けようとしてるわけじゃないんだから」
「充分傷付いてる! 私にこれ以上焼きもち妬かせないで!」

