「分かったよ……行けば良いんでしょ、行けば……」

私は仕方なくそう言って、唇を尖らせた。



“千秋”のお店はBarらしく、お酒を飲む事になるからと言って、春樹さんはマンションまでタクシーを呼んだ。


タクシーに乗って十分ほどで職場につくと、あれだけ悩んでいた悩みの種であるユカリはお休みだった。


気を張っていた私は一気に肩の力が抜け落ちる。


例え今日会わなくても、来週末にはユカリと顔を合わせる事になると思う。


だけど、それまで時間はたっぷりとある。


その間にしっかりとした心構えを作っておけば、多少の嫌がらせには動じないだろう。


そう考えて気持ちに余裕を持たせると、ユカリの事をあまり気にせず仕事が出来た。