仕事に行く支度が終わり、一人でソファに座ってテレビを見ていると、ガラステーブルの上に置いてある春樹さんの携帯が鳴りだした。


「涼、ごめん! こっちに携帯持ってきて!」

寝室でパソコンをいじってる春樹さんが、私に向かって大きな声を投げかける。


私は頼まれた通り携帯を持って行こうとガラステーブルに手を伸ばし――…



…――ディスプレイに表示されてる名前を見て、ピタリと手を止めた。



“着信 須藤 千秋《すどうちあき》”


……この名前にどれだけ嫉妬しただろう。


春樹さんと仲の良い女友達で。

春樹さんの事を好きかもしれない女友達で。


もしかしたら春樹さんと……エッチをしたかもしれない人。