「それ、演技だよ。本当はそんな奴じゃない」

――だから私とユカリは友達になれた。

そう言うと、春樹さんはいよいよ当惑の表情を浮かべた。


「私とユカリが出会ったのって中学一年の頃なんだけど、その出会い方が凄く最悪でね? ユカリに喧嘩売られたのがきっかけだったの」

「喧嘩?」

「うん。一人で買い物に行った帰りに不良グループに絡まれて、そのグループを仕切ってたユカリにいきなり“タイマンしない?”って言われて」

「買ったのか?」

「最終的にはそうなるね。私が返事する前に殴りかかってきたから、喧嘩しないといけなくなった」

「何だそれ。滅茶苦茶だな。それで何で友達になるんだよ?」

「勝負がつかなかったから」

「……は?」