「大丈夫か? とりあえず家に帰って落ち着こう? な?」

春樹さんは優しい口調でそう言って、立ち尽くす私の腕を掴む。


そして、ズルズルと引きずるようにして、私を駐車場まで引っ張っていってくれた。



――…家に帰って事情を説明すると、何が面白いのか、春樹さんはケラケラと笑い声をあげた。


「何で笑うの!? 人が真剣に悩んでるのに!!」

さすがに頭にきた私は春樹さんに声を荒げ、そっぽを向いて俯く。


「涼、怒るなってば。それに、ユカリさんの事は気にするな」

私の頭をヨシヨシと撫でて、宥めるような声を出す春樹さん。


でも、そんな事言われたって、気になるんだから仕方ない。


私は腹の底からハァっと深い溜息を吐き出した。