そして、近くにいた店員にショーケースの中のドレスを注文すると、「涼はここで待ってろ」と言って、一人でレジに向かった。


私はお店の出入り口付近に移動して、春樹さんが来るのを待つ。


そこで何の気なしに、すぐ側にある腰くらいの高さまでの棚に視線を向けると、複数のブランド物のアクセサリーが“30%OFF”の値札を貼り付けて飾られていた。


……値引きの状態でも充分に値が高い。

そしてどれも、私には似合いそうにない物ばかり。


いつかブランド物が似合うような大人になったら、一つくらいは買ってみたいなと、そう思い暫くの間食い入るようにアクセサリーを見つめていたら、


「――どうした? 何か欲しいのか?」

会計を済ませたらしい春樹さんに背後から声を掛けられた。