私を抱き締めたまま、至近距離で顔を覗き込む春樹さんからパッと離れると、春樹さんはクスクス笑った。



春樹さんの言葉。
春樹さんの温もり。
春樹さんの笑顔。


それは全部、私の涙を止めて、私の心を癒してくれる――魔法のような物。


私は春樹さんの左手を握り締め、その愛しい横顔を見つめた。


こんなにも優しくて、私の事を思ってくれてる春樹さんには、イジメられてるなんて言えない。


そんな事を言って、大好きな春樹さんに無駄な心配をかけるのは、絶対に嫌だ。


そう思い、改めて一人で戦う事を胸に誓った私は、春樹さんの手を握る手に、ギュッと力を込めた。