「あーあ。しょうがねぇなぁ」

笑みを含んだ声を出して、適当な場所に車を止めた春樹さんは、私の鼻をティッシュで綺麗に拭いてくれた。


そして、私の目を覗き込み、フッと笑って眉を八の字に曲げると、


「なぁ、涼? 待ち合わせに遅れる時は、メールでも良いから連絡入れてくれよ? 心配になるから」

私を抱き締め不安気な声を吐き出すもんだから、私の涙はピタリと止まった。


「んっ……分かった……ちゃんと連絡する」

「あと、何か危ない事があった時もすぐに連絡するんだぞ?」

「うんっ……」

「涙止まったか?」

「……止まった」

「あれ? 鼻水出てるぞ?」

「もう出てないし! ていうか、恥ずかしいからこんな顔見ないでっ!」