「電話出ねぇから、何かあったのかと思って心配した」

いつもみたいに、優しく触れる。


「何もなかったんならそれで良い」

続けて向けられたその言葉に胸がギュッと締め付けられて――…涙が零れ落ちる。


「やっぱりアイツに何かされたのか!?」

「ちがっ……違うっ! 春樹さん……怒ってると思って……」

「怒ってる? 何で怒るんだよ。電話に出ないくらいで怒ったりしねぇよ」

「ごめっ……ごめんなさっ、い……」

「怒ってないから泣くなって。お前は本当に可愛い奴だなぁ」

春樹さんはそう言ってクスクス笑い、私の頭をポフッと叩く。


「う゛ー……」

「ほら、鼻水出てるぞ。ティッシュで拭きなさい」

「う゛ぅー……」

「こら。垂れ流すな」

「う゛ぅぅー……」