だから、「イジメだよ、イジメ」と軽い口調で教えてあげると、宮沢は「はぁ!?」と大袈裟なリアクションを見せた。


「そんな呑気にしてて大丈夫なのかよ!? 橘先輩にバレたら大変な事になんじゃねぇの!?」

「だから一緒に探してくれって頼んでるんじゃん」

「あ……あぁ、そうか。うん。分かった。探すわ」

宮沢は春樹さんの事を知ってるだけに、やっぱり話が早いなと思った。


きっと、宮沢も私と同じ想像をしたに違いない。


心の中で「どうか見つかりますように」と祈りながら、校内のありとあらゆる場所を、宮沢と二人で見て回る。


一年から三年までの全教室とベランダ。

トイレ。
ゴミ箱。
体育館。
プール。

見てない所はないっていうくらい探し回ったのに――…結局、私の靴はどこにもなかった。