「そんな所で突っ立って何してんだ?」

両手をズボンのポケットに突っ込み、少し離れた所で立ち止まってた宮沢は、垂れた目を不思議そうに見開く。


その姿を見た瞬間、もうこれしかないと思った。


この状況を打破する術《すべ》は、ただ一つ。


「靴がなくなったから一緒に探してくれ」

それしかない。


「は? 何でなくなるんだよ? 靴は歩かねぇぞ?」

言いながら、私に近付いてくる宮沢。


「んな事分かってるよ。くだらない事言うな」

「盗まれたもん探しても意味ないんじゃねぇか?」

「いや、盗まれたわけではないと思う。多分、学校のどっかにあるはず」

「え? ちょっと待て。それどういう事だよ?」

目の前に立って私を見下ろす宮沢は、キョトンとして目を瞬かせた。