私は再び立ち止まり、クラスメート達の顔を見渡す。


だけど、誰一人として私の方を見ていない。


むしろ顔すら向けずに全員が背中を向けている状態だから、声の主が誰なのか見当もつかない。


「……ヤリマンじゃねぇし」

仕方なく、見えない相手に言葉で対抗すると、不完全燃焼のまま自分の席に向かった。


足を一歩進める度に、腹の底からジワリジワリと、やり場のない怒りが沸き上がってくる。


それを発散するようにして、自分の机の上に荒々しく鞄を置くと、椅子を引いて腰を下ろした。


そして、机の中から無造作に教科書を引っ張りだし――…


「ッッ……!?」

…――教科書と一緒に飛び出してきたピンク色の“ソレ”に、驚いた私は悲鳴を上げそうになった。