遠くから聞こえる馬鹿うるさいマフラーの音に思わず耳を塞いだのは、春樹さんを待ち始めて三十分が経った頃だった。


こんな真っ昼間から流してるなんて、どこの走り屋だろう?
ここらへんは民家なんだから、もっと大きな道に出て走ればいいのに。


どんどん近付いてくるマフラーの爆音に、心の中でそう文句を垂れていると――…



…――事もあろうに、その爆音の犯人である車高の低い白セダンが、私の視界を遮るようにして目の前に止まった。


……ちょっと。凄い邪魔なんだけど。


そう思って車の窓にチラリと目を向ける。


すると、窓から顔を出してた運転手とバッチリ目が合って、


「遅くなってごめんな。車交換しに行ってた」