最後の恋はアナタの隣で

「準備して朝飯食べたら行くぞ」

「……うん」

私は名残惜しい気持ちを抑え、香水がフワフワ香る春樹さんの腕から離れた。



春樹さんの家から学校までは、車で大体二十分位の距離。

道の混雑も考えて、朝食を食べ終わると早めに家を出た。


だけど、予想に反して道は空いてて、春樹さんとの楽しい時間はあっという間に過ぎ、


「あー、やっぱりか」

正門前にピタリとつけられた車中、春樹さんは訳の分からない事を呟いて、口許に薄っすらと笑みを作った。


「どうしたの?」

何が“やっぱり”で、何が可笑しいのか分からず、目を瞬かせて春樹さんの横顔を見つめると、


「道案内してもらってる途中でまさかとは思ってたけど、ここ俺の母校だよ」