ママのスキャンダル！

ママとハリーの姿が見えなくなり―――

あたしは漸くはっと我に返った。

｢フレッドさん？これ、どういうことですか？どうしてママが―――｣

わけがわからない。

あのカメラマンは、部屋の中から出て来た。

その前はハリーとママ、そしてフレッドさんが。

ということは、あのカメラマンは最初からあの部屋にいたということ？なんのために？

まさか―――

｢サラ、落ち着いて。僕は何も知らなかった。本当だよ｣

そう言ってフレッドさんはあたしに一歩近づいた。

あたしは反射的に後ずさる。

デイブが、あたしをかばうようにその間に立つ。

｢あのね・・・・冷静に考えてみてくれないか。僕には妻も子供もいて、そして社会的地位もある。その僕がハリウッド女優の母親とスキャンダルになったりしたら、困るのは僕だって同じだ。そんなリスクをわざわざ犯すと思うかい？｣

｢でも―――それじゃあどうして｣

あたしの言葉に、フレッドさんは溜め息をつき―――少し寂しそうな顔で口を開いた。

｢たぶん―――ソフィアの考えたことだろう。―――なあ？そうなんだろう？｣

そう言ってフレッドさんが振り返った先にはあのカメラマンが、黒服のSPに囲まれた状態でいたが―――

フレッドさんの言葉に、ぎくりと体を震わせる。

｢娘が、君のことをよく思っていないんだろうということは見ていてわかったよ。娘は昔からちやほやされて育ったからね。私の責任でもあるんだが―――どうにも、我儘な娘に育ってしまった。今までずっと女王様だったのが、急にその地位を君に脅かされたように感じて、焦ったんだろう。十分なおこずかいもあるし―――自分であのカメラマンを雇ったんだろうな。君のママのシャンパンに、睡眠薬か何かを入れたんだろう」

あたしは呆気にとられ、その話を聞いていた。

ソフィアが、まさかそんなことまで―――

そんなにあたし、嫌われてたんだ―――