ママのスキャンダル!

フレッドに促され、あたしたちは家の中に入った。

日本だったらちょっとした学校の体育館くらいの広さはあるんじゃないだろうかというホールに、いくつもの丸いカウンターテーブルが並び、その上に並べられた皿にのったオードブルや数人のボーイがトレイに乗せて歩いているシャンパンやジュースを手に取り、たくさんの人たちが思い思いに楽しんでいるようだった。

ハロウィンの仮装そのままに歩いている人もいれば、パーティードレスやタキシードに身を包み、ダンスを楽しんでいる人たちもいて。

なんだかそれだけでも映画のワンシーンのようだった。

「なんだかすごいのね」

ママが目を丸くして言う。

「うん。びっくり―――。あれ、ママお酒飲んでるの?」

ママの手には、いつの間にかシャンパンが。

「ああ、うん。さっき誰かに渡されたみたい。甘くて飲みやすいの。飲んでみる?」

「や―――ここではいいよ」

家では、味見させてもらったりしたことはあるけれど。

さすがにこれだけ人目のあるところでアルコールはまずいよね。

見ていたデイブが、くすくす笑う。

「サラのママって、面白いね。なかなかいないだろ、こういうところで自分の娘に酒勧めるって」

「あは、そうかもね」

「なあ、向こうのテーブルにうまそうなお菓子があったよ。一緒に行こう」

そう言ってあたしの手を引くデイブ。

ちらりとママの方を見ると、行ってらっしゃいと小さく手を振っている。

シンディはさっき知り合いを見つけたようでどこかへ行ってしまった。

あたしはデイブと、人の間をすり抜けお菓子の並ぶテーブルの方へと歩いて行ったのだった・・・・・。