その日の学校は授業どころじゃなくて。

生徒も先生も皆ありとあらゆるものに仮装していて、まるでお化け屋敷か動物園。

きれいだったりかわいかったり怖かったり面白かったり・・・・・。

見るたびに笑い転げたり、驚きの声を上げたり。

シンディはジキルとハイドの仮装。右半身がジキル博士で、左半身がハイドだ。

ぱっと見、シンディとはすぐにわからないほど見事な仮装だった。

そしてデイブはスリラーのときのマイケルジャクソンの仮装。

彼がマイケルジャクソンのファンだってこと、この仮装の衣装を作るときに初めて知った。

そしてあたしたちの頭の中はすでに今日のパーティーのことで頭がいっぱい。

ティンカーベルの仮装をしたソフィアが、得意げにあたしたち3人の前に立ちはだかった。

「日本からの取材も来てるし、楽しみよね。ハリウッドスターのスキャンダルが、暴かれなきゃいいけど?」

もちろんその様子もカメラが捉えていたし、すぐ近くで香月さんも聞いていた。

シンディとデイブはむっとして顔を見合わせていたけど・・・・・。

でもあたしたちには、暴かれて困るようなスキャンダルなんて一つもない。

だから大丈夫。

そう自分に言い聞かせていた。

「ねえ、サラ」

シンディがあたしのそばに来て耳打ちする。

「何?」

「パーティーに行く前に、ちょっとあたしの家にこない?」

「シンディの家に?どうして?」

あたしが聞くと、シンディはにっこりと満面の笑みを浮かべて、こう言った。

「お菓子をもらいに行くのよ」

と・・・・・。