「わ!ママ、かわいい!」

当日のママの衣装を見て、あたしはびっくりした。

ママは仮装とかしないのかなと思っていたから、まったく予想外だった。

ママの仮装は、『猫娘』。

日本ではお馴染みの妖怪だけど、アメリカでも知ってる人いるのかな?

だけど知らなくても裾の短めな日本の着物と猫耳だけで十分インパクトはありそうだった。

「ハリーは?」

「今日は仕事。パーティーには間に合うように帰ってくるって」

「ふーん。どんな仮装するか知ってるの?ママ」

「うん、まあね。でもまだ内緒。パーティーを楽しみにしててってハリーから」

にっこりと楽しそうに笑うママは、まるでいたずらを企む子供みたいだった。

「沙羅も、その格好かわいいよ。がんばって作ってたものね」

ママに褒められ、ちょっと照れてしまう。

昔大好きだった絵本のキャラクター。

七色の体をしたあおむし。

触覚はピンクで、体はピンク、赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫の7色。

こっちでその話が知られているかどうかは知らない。

でも、一度本屋さんで似たような絵本が並んでるのを見たことがある。

女の子なのに虫が好きなんて。

そう言われたこともあるけれど、七色のあおむしなんて、こんなかわいい生き物はないって思うんだ。