「沙羅」

家に帰ると、ハリーがあたしを迎えてくれた。

「あれ?ただいま。今日は早いね」

「うん。予定よりも早く終わって。それより、ハロウィンのことだけど」

「ハロウィン?」

「うん。パーティーに呼ばれてるって?」

「あ・・・・・それ、ママに聞いたの?」

「うん」

「あの―――気にしないで。ハリーがパーティー好きじゃないってわかってるし、ちゃんと断るつもりだから」

そう言って笑ったあたしを、ハリーがじっと見つめた。

「でも、僕らが行かないと沙羅が辛い思いをするんじゃないの?」

心配そうなハリー。

ママから全部聞いているんだと、その表情からわかる。

「大丈夫。味方してくれる友達もいるし、あたしは気にしてないから」

そう言って笑って見せると、ハリーはそれでもちょっと心配そうに首を傾げた。

「無理はしないで。何かあった時にはちゃんと僕かママに言うんだよ」

「うん、わかってる」

そこへ、ママがひょっこりと顔を出す。

「あ、沙羅帰ってたの」

「あ、ただいま」

「お帰り。あのね、さっきキャロルさんから電話があって」

「キャロルさんから?」

「うん。日本から取材の申し込みがあって、ハロウィンのパーティーに合わせて取材したいって」

にっこりと、無邪気に微笑むママ。

あたしとハリーは、顔を見合わせた。

「ママ、パーティーって・・・・・?」

「呼ばれてるんでしょう?」

「だってそれは!」

「日本からマスコミが取材に来るって言ったら、そのちょっと意地悪な女の子も喜ぶんじゃない?」

そう言ってママは、ちょっといたずらな笑みを浮かべたのだった・・・・・。