「あたし、日本に行ったことがあるの」

シンディが言った。

「パパの仕事の都合で。もう5年も前のことだけど、はっきり覚えてる。最初はね、『外人』だからっていじめられたの。でも、同じクラスの女の子の一人があたしの味方してくれて。だんだん他の子達とも仲良くなれたの。だから、サラも心配しないで。すぐにみんなと仲良くなれるよ。本当はみんなサラと友達になりたいんだから」

そう言ってシンディはあたしの手を握った。

「とりあえず、あたしは友達第1号になれる?」

その言葉に、あたしも笑顔で頷いた。

「もちろん。ありがとう、シンディ」


学校で初めての友達ができたことを、ママもハリーも喜んでくれた。

ママは何も言っていなかったけど、きっと心配してくれてたんだろう。

あたしの話にほっとした様子で、

「よかったね」

と言ってくれた。

「だから、言っただろう?きっとすぐに友達ができるって」

ハリーがにっこりと微笑んだ。

「もう大丈夫。きっとどんどん友達も増えていくよ」

「うん。ありがとう―――。パパ」

その言葉に。

ハリーとママの動きが一瞬止まる。

目を丸くして、あたしをみる二人。

あたしは気恥ずかしくなって慌てて食事の席を立った。

「ご、ごちそうさま。あたし、疲れたからもう寝るね」

部屋を出て、扉を閉めた瞬間に、二人が奇声を上げたのが聞こえた。

「聞いた?パパって!」

「パパって言ったよ!!」

―――丸聞こえなんですけど・・・・・

思わず赤面。

でも・・・・・

2人の喜んでいる声が、本当に嬉しそうで・・・・・

なんだかとても幸せな気分になったあたしだった・・・・・。