新しい学校に、なかなか馴染めずにいたあたし。

そんなあたしを、ハリーが心配してくれた。

「僕も、映画がヒットしたときはちょっと辛い思いをしたことがあったよ」

「そうなの?」

「うん。どうしても学校休みがちになっちゃったし、それにファンの子達が学校まで押しかけてきたりしてね。それまで友達だと思ってたやつらが、急に目も合わせてくれなくなったりね。だけど、中にはちゃんとわかってくれるやつもいてさ。そいつらとは、今も親友同士だよ」

「・・・・・あたしも、いるよ。日本に。でも・・・・ここでは友達って呼べる人はまだいない」

「そうか・・・・・。でも、そのうちできるよ。みんなきっと君に話しかけるタイミングを計ってるだけ。スターは、話しかけずらいもんだしね。焦らなくても、君のよさをわかってくれる人間がきっといるから」

そう言ってにっこりと笑ってくれたハリー。

初めて会ったときと同じ。

穏やかな、ほっとするような笑顔・・・・・。

ずっと憧れてた人。

それは恋愛感情とはちょっと違う、とても尊敬する気持ち。

ママといくら年が離れていても、超有名なハリウッドスターだとしても、今この人があたしの父親なんだ。

そう思うと、なんだかとても誇らしい気持ちが沸いて来た・・・・・。


「ハイ、サラ」

学校へ行くと、クラスメイトのシンディが話しかけてきた。

あまり話したことはない。

みんなそうだけど。

インド人とアメリカ人のハーフだって話してたのを聞いたことがある。

小柄で細身なのは、ちょっとあたしと似てるかも、ってあたしは思ってた。

もちろん身長140cmで30kgしかないあたしから見れば充分大きいんだけど。

目が大きくて、顔が小さくて、すごくかわいい女の子だ。

「ハイ、シンディ」

「ね、今日ランチ一緒しない?」

「いいけど・・・・・なんで」

「ずっと、誘いたかったの。でも、ソフィアが・・・・・」

そういえば、今日はソフィアが休みだった・・・・・。