あたしの名前は柴木沙羅。

今13歳の中学一年生。

そして、一応女優というお仕事もしているのだ。

そんなあたしのママが、さっきのちょっと頼りない人だ。

今年40歳のママは、小柄で童顔な為、大抵年よりも若く見られたし、あたしと一緒にいて親子に見られることはあまりなかった。

頼りなく見えるけど、意外としっかりしてるんだ。

何しろ3年前パパが死んでしまってから、あたしと8歳年下の弟の悠を女手一つで育ててくれたのだから。

まだ小学生だったあたしと2歳だった弟を育てる為に、寝る間も惜しんで働いていたママ。

あたしも何か力になりたかったけど、まだ小学生だったあたしには何もできなくて・・・・・

食事の支度を手伝ったり、悠の面倒をみるくらいが精一杯だった。

それでもママは弱音を吐いたりせず、いつもにこにこしてあたしと悠を見ていた。


そんな時、ママが家で仕事をする時に使っていたパソコンを、ちょっとだけ借りてネットを見た。

いつも何気なくやってることだった。

パソコンを扱えるようになれば、ママのお仕事を手伝えるかな。

そんな気持ちもあって。

そしてあたしの目に飛び込んで来たのは、“オーディション”の文字だった。

特に芸能界に興味があったわけじゃない。

ただそのオーディションというのが、あたしの大好きな映画の出演者を募集するものだったことと、10歳の東洋人の女の子の役というのがあたしにあってると思った。

そして何より、あたしが働くことができるようになれば、ママをもっと楽にしてあげることができるかも。

そう思ったのだ。