学生の本分は勉強。

というわけで。

あっという間に超有名人になってしまったあたしだけれど。

撮影が始まる7月まではそれほど仕事もないので、毎日きちんと学校へ行っていた。

最初は戸惑っていた友達も、しばらくするとまた前のように普通に話せるようになったし、学校での扱いも変わらず、あたしは以前と変わらず学校へ行くことができたのだった・・・・・。


そして7月に入り、みんなよりも一足早く夏休みに入ったあたしは、再び家族そろってハリウッドへと向かったのだった。

約2ヶ月、あたしたちが滞在することになったのはホテル。

そのホテルには託児所もあって、撮影のある日はそこへ悠を預け、ママはあたしの撮影に着いてきてくれていた。

と言っても、現場ではママのすることはないからただ見てるだけ。

と思いきや、手持ち無沙汰でスタッフのお手伝いを始めたママはなぜか注目の的で。

それを見ていたキャロルさんが感心したように呟いた。

「すごいわね、ママったらモテモテよ。スタッフだけじゃなくって、俳優たちにも人気があるみたい。ほら、あの彼なんてさっきからずっとママを見てるわ」

そう言ってキャロルさんが指差したのは魔法使い役の俳優さんの1人だった。

「日本人て、意外と人気があるものだけど・・・・・。沙羅のママは特にそうみたい。小柄でかわいらしくて優しくて・・・・・ちょっとぼんやりしてるところもあるけど、そういうところがまたかわいく見えるのね。年も、言われなきゃ37歳には見えない。あなたみたいな娘がいるようには見えないものね。学生って言っても通るかもしれないわ」

それは大げさかも・・・・とは思ったけれど。

でも確かに、日本にいても若く見られるママが、こっちでもっと若く見られるというのは納得できる気がした・・・・・。

そして撮影が進み。

あたしは、あることに気づいた。

相変わらずモテモテのママを見つめる視線の中に、ハリーの視線があったことに・・・・・