毎日いろんな観光地へ足を運び、そのたびに必ず声をかけてくる人がいた。

たぶん、それが審査員なんだろうなとは思ったけれど・・・・・

なんだかそんなことどうでもよくなっていた。

あの時、ハリーと出会ったことで、あたしの中の何かが変わった気がする。

映画にはもちろん出たいけれど。

でもここまで来れたのがきっとあたしにとっては奇跡みたいなものだから。

面接でも、聞かれたことには正直に答えた。

ママのこと、亡くなったパパのこと、弟のこと。

それからこの映画が大好きだっていうこと。

ここにこうしていられる。

それだけですごく幸せだって・・・・・。

1週間の間にたくさんの楽しい思い出を作った。

パパが亡くなってから、初めての3人の旅行。

ママと、悠と。

たくさん笑って、おいしいものを食べて、おしゃべりして・・・・・。

ここでの思い出があれば、きっとこれからもがんばっていける。

そう思って・・・・・オーディションの結果がどうだかなんて、気にならなくなっていた。

そして最終日・・・・・

あたしはそのオーディションに、合格することができたのだ・・・・・