「ヴァン・・・もう行っちゃうの?」

少女が足下を見ながら言う。
手で夜着の裾をキュッと握っている。

「おう。今から出るところだ。ってかお前こんな時間に不用心だなぁ。気をつけろよ?」
ヴァンと呼ばれた少年の言葉に少女はコクリと頷き
艶(つや)やかな黄金の髪を揺らしながらヴァンを見つめる。


「じゃぁな」

少女の隣を通り部屋をでる。



少女は後ろを振り返り、微かに唇を動かしたが
それも虚(むな)しく少年は闇に溶けていった。