――グイッ! 「!!!」 腕を掴まれた。 まずい。 音也の目の前でさっきの空気を復活させたくない。 「な、何?」 私は平静を装って言う。 「……」 だから、黙るなって! 「……7月最初の日曜日だから」 橘は俯き加減でそれだけ言うとパッと私の腕を離した。 「じゃあな。また明日」 「……」 私は何も答えずにくるりと向きを変えると改めて昇降口へと歩き出した。 その後ろを音也がパタパタと上履きの音をたてながら、黙ってついてくる。