愛されて

「…香、遥香…」

私はうっすらと目を開けた。
目の前に…洋平の顔があった。

ここはどこだろう?
天井が見える。

辺りを見回すと。
マイクが見えた。

「ここ、どこ?」

「公園の横のカラオケボックス。お前、公園で声かけようとしたら…急に倒れるから…」

額には…冷えたタオル。

「熱中症だよ…こんな暑い中、走るから…涼しい所がいいかなと思って…ここにつれてきた」

洋平が冷えたスポーツドリンクを渡してくれた。
私はそれを一口、飲んだ。

「ごめんね…」

私は泣いてしまった。
あんなことがあった後だったから…
洋平の優しさが。
温かくて。
私は泣いてしまった。