それは…ホームルームでのこと。
始業式が終わったホームルームで学級委員を決めたのだが。

「じゃあ、学級委員を決めたいと思います。学級委員になりたい人」

担当の大沢先生が言うと、クラスの半分ぐらいの子が手を上げた。

「多いなぁ…」
大沢先生も苦笑い。

「だって、学級委員をやったら内申書がよくなるんでしょう?だったら、俺、やりたい!!」
男子が無邪気に言うと。

「ちょっと待ってよ…」
教室に…聖の声が響いた。

聖はこのクラスの女子のリーダー。
怒らせるとこわいので。
みんな聖には何も言わない。

「あのさ、1年や2年の時に学級委員をした人は内申書がよくなっているから、全然やっていない人の中から選んでもらいましょう…」
聖はそう言った。

学級委員は男女1人ずつ。
この時点で…女子の学級委員が聖になることは決まっていた。
だけど…投票が行われて。
学級委員は聖に決まった。

男子も厳正に投票が行われて無事に学級委員は決まったのだが。

それからが問題だった。
後は図書委員とか、保健委員とか決めないといけなかった…
だけど…学級委員に比べて目立たない委員になりたい子は少なくて。

結局、推薦になった。
こういう時は…必ず…
クラスでも大人しい子が犠牲になる。

その犠牲になったのが…私たち3人。
私は図書委員に…
雪は保健委員に…
麻美は放送委員に…
なった。

「何で私たちが犠牲にならなくてはいけないのよ…」
雪が怒った…
私も麻美も同じ気持ちだったけれど。
教室では何も言わなかった。