「ごめんな。遥香のことで…歩香には迷惑かけて。そして…こんなことになって、俺…拓也さんに申し訳ないよ…」

パパも今回のことで…
責任を感じているみたいだった。

「大丈夫だよ。赤ちゃんも無事だったんだから、そんなに気にしないで」
歩ちゃんが笑いながら言った。

「遥香たちのこと…本当にいいのか?」

「いいに決まっているじゃん。私も…親だから遥香の気持ちよく分かるよ。たぶん、マナがいなかったら反対したかもしれないけれど…」

「そうだよな…俺たち親なんだな。昨日、お母さんに遥香のことを引き取りたいって言われて、俺は正直に言ってホッとしたんだ…」

パパが話す…

パパも考えていた。
赤ちゃんを施設に預けて、私は何事もなかったかのように学校に通う。

果たして…それが私にとっていいことだろうか?

赤ちゃんは施設に預けているとはいえ、私が赤ちゃんを産んだという事実は変わらない。

「それをどう…おふくろが受けとるか。きっと、おふくろは遥香にも由香にもつらく当たる。ううん、遥香のこと無視するかも…それに、遥香だって、痛い思いや辛い思いをして…赤ちゃんを産んだんだ。何もなかったかのようにできるはずがない!!」

「ごめん…歩」

「何で謝るの…?」

「本当は俺が…遥香のこと守らないといけないのに…だって、今の遥香はあの頃の俺たちだから…」

「あの頃…」

「由香が遥香を妊娠した頃…」

「あの時は…亮輔も由香も、中絶を勧めるお母さん達にくってかかって…」

歩ちゃんが笑う。

「あの時は…赤ちゃんを守ることに必死だった。ただ元気に生まれてきて欲しいと思った…」