愛されて

家からタクシーに乗ると…近所の人から見られるので。

近くのスーパーまで歩いていくことにした。スーパーにはいつもタクシーが2台は止まっている。

私は…
痛みがひいているうちにスーパーまで歩くつもりだった。

だけど。
スーパーまで、あと少しというところで…
「イタッ」
と痛みがきて。
私はうずくまった。

「大丈夫ですか?」
と声をかけられた。
「はい…」
私は返事をして…
顔を上げた。

声をかけてくれたのは洋平だった。

「洋平…」

「遥香…お前、何…」

「洋平には…関係ないでしょう…」
痛みに耐えながら言った。

そう、洋平には関係ない。
だって…赤ちゃんのことは私1人でやろうと決めた。

「お前…まさか…」
洋平の顔が一気に青くなった。

「そうだよ。陣痛が始まったの…」
強い痛みがきて。
「痛い!!」
と私は声を上げた。

洋平は…
「病院に行こう。スーパーまで歩けるか?俺、タクシー呼んでくるから…」
と言って。
走っていった。

3分ぐらいして…
洋平はタクシーと一緒に戻ってきた。

「大丈夫か?」

「うん…」